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Interview|Stacy Martin

Interview|Stacy Martin
ステイシー・マーティンが演じる、
往年の女優アンヌ・ヴィアゼムスキーの姿

Top Photo:© YOSHIKO YODA
Hair and Make up by Yoshi.T at AVGVST

女優として、そしてファッションアイコンとしても活躍を続ける、Stacy Martin(ステイシー・マーティン)。その美貌は人々を虜にし、多くの女性から憧れの眼差しを浴びている。
2014年 Lula JAPAN 創刊号でも、カバーモデルを務めてくれた。
それから年月が経ち、久々に現れた彼女は麗しく、凛とした佇まいでより魅力を増していた。

7月13日(金)より公開の映画「グッバイ・ゴダール!」。
今回、StacyはJean-Luc Godard(ジャン=リュック・ゴダール)と恋をし、女優としての人生を送った元妻Anne Wiazemsky(アンヌ・ヴィアゼムスキー)を演じている。

60年代のフレンチカルチャーや政治的背景が色濃く表現された劇中で繰り広げられる、Godardと歳の離れたAnneの恋愛模様。また、随所で登場するGodardの名作の数々。
それらはコラージュのように鮮やかに展開され、フィルム撮影による独特な映像美で描かれた。

今回、Anneを演じるStacyに、役を演じる上で感じた事、作品への思いを語ってもらった。


© LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.


−監督のMichel Hazanavicius(ミシェル・アザナヴィシウス)と仕事をしてみて、彼への印象と仕事の感想をお聞かせください。

もともとHazanavicius監督の作品は今回のお仕事を引き受ける前から知っていましたし、友人役のBérénice Bejo(ベレニス・ベジョ)も別の作品で共演をしていたので、彼女経由で以前から監督の話は聞いていました。
すごくユーモラスな方です。

彼はアーティストのように作品作りをする方で、映画もまるで絵を描くように作られていきました。
彼にとって演技と同じくらい、構図や色彩、またちょっとしたテクスチャーがすごく重要なんです。
しかも今回の作品はコメディなので、複雑でしたが、そういったものを見事に作り出すことができる、とても手練れな監督です。
また、典型的なフレンチジェントルマンだなと感じました。



© LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.


−今回、同じ女優であったAnne Wiazemskyを演じる上で、どのように役作りをされましたか。

まずは脚本と、監督からいただいた彼女の小説2冊を読みました。
そもそも彼女のことは女優としては知っていたのですが、作家としては知らなかったので。
彼女の作品には、彼女の人となりやエッセンスが詰まっていて、それが役作りの大きな手がかりとなりました。
彼女は何を書いていても「生きる喜び」というものをすごく感じさせる方で、そんなところを今回のキャラクターを演じる際にキープしよう、と意識しました。

あとは監督と話し合って、モノマネはしない事に決めました。
なんと言ってもこの作品は伝記映画ではないので、Anneそっくりな演技をするのではなく、例えば60年代のアイコン的な女性たちや、Godard作品に登場する女性たちを象徴するように演じました。
言うならば、Godard作品の新しいアイコンともいえる女性として演じました。


−あなたから見たAnne WiazemskyとGodardはどのような人物ですか?
演じる前と後で、何か印象は変わりましたか?

どちらかというと私は、演じる際はHazanavicius監督が描いたキャラクターとしてこの2人を捉えていました。
もちろん、実在の人物として彼らのことは知っていましたが、役者にはキャラクターを創り出す自由というものが必要だと思っています。
監督が描いたキャラクターになりきる行程はとても楽しかったです。
完全にそっくり演じるのではなく、でもエッセンスは近づけるといった作業が非常に興味深くて。

例えばAnneの場合は、先ほど言ったようにGodard作品の新しいアイコンともいえる女性として演じました。
ですが、Godardと一緒に暮らし、そして別れた後の作家としてのAnneの姿を知らなかったので、その部分は発見の作業でしたね。

この作品で私が特に好きなのが、Godardをひとりの人間として描いているところです。
作品の中で、私たちは彼と共感できるし、惚れることもできるし、笑ってしまうことができる。
人間だからこそやっぱり偉大なんだ、というふうに思えました。



© LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.


−本作では、2人の恋愛の最も楽しい時期から終わりにかけて描かれていたと思うのですが、
あなたはその2人の関係性をどう捉えていましたか?

AnneはGodardに比べてまだまだ若くて、これから色んなものを発見し、社会や世界の中での自分の立ち位置を見極めていこうとしているところ。
逆にGodardは既にそのすべての答えが出てしまっていて、にもかかわらずさらに自問し続けている、そういう人物なんです。
あるいは、今まで自分が築き上げたものに逆行しようとするような。

その感情の差異が原因で、残念ながら別れを迎えてしまうわけですが、別れてもなお、お互いを恨んだり、裁くような目線というのはなかったのではないかと思います。
それって結構リアルなことだと思うんです。
実際に誰かと付き合って別れる時って、後から考えると5カ月ぐらい前に、はたまた1年くらい前に本当は終わっていたんだよなってこと多くないですか?


−本作でGodardはとても魅力的に描かれていたかと思うのですが、
あなた自身が惹かれる監督はどのような方ですか。

Godardは自信家というイメージもあるみたいですが、私にとってGodardというのはすごく不安を抱えているからこそ、逆にそれがアーティストとしての勇気につながっている人だと思います。
その姿はとても勇敢だと感じています。
私がコラボレートする監督たちや才能ある方々も、やはり恐怖心を抱えている方が多いです。
そうした恐怖心があっても、自分の中にヴィジョンがあり、だからこそ映画を作っていく。
そういう資質を持った方と仕事をしたいです。

例えば、本作のような映画なんてとても作るのは難しいですし、リスクも多かったと思います。
それでも、今回のHazanavicius監督のように戦って、そして映画を作ろうとする。
そういう方にすごく惹かれます。



© LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.


−最後に、あなたが思う本作の見どころを教えてください。

まず、私が演じたAnneという人物を、ぜひ発見していただきたいです。
あとは、すごく笑える作品だと思います。
ユーモアがあって、ちょっと生意気、そこがまた楽しい映画であると思います。

それから、今回フィルムで撮影を行ったのですが、構図を含め、その映像美を通じて、これこそがシネマだという体験をしていただきたいです。




『グッバイ・ゴダール!』
監督/Michel Hazanavicius(ミシェル・アザナヴィシウス)
出演/Louis Garrel(ルイ・ガレル)、Stacy Martin(ステイシー・マーティン)、Bérénice Bejo(ベレニス・ベジョ)
原作/『それからの彼女』(DU BOOKS刊・現代『Un an après』)
配給/ギャガ
7月13日(金)より東京・新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。
www.gaga.ne.jp/goodby-g/

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