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Chikashi Suzuki “My Tokyo”

Chikashi Suzuki “My Tokyo”
情緒あふれる、まだ見ぬ東京の顔

Top Photo:Chikashi Suzuki, Kudanshita, Tokyo, 2008, C-print, 100.0 x 126.0 cm
©Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

日本を代表するフォトグラファー 鈴木親の展覧会「わたしの、東京」が、KOSAKU KANECHIKAにて、6月1日(土)まで開催中。

90年代よりエディトリアルやファッションフォトの最前線で活躍し、国内外の雑誌で作品を発表してきた、鈴木親。
世界中のクリエイターを魅了する東京という街をはじめ、著名人や有名メゾンから若手のモデルまで、幅広い対象をフィルムに収めている。

鈴木の写真は、被写体が持つパブリックなイメージとは別の、一瞬だけ見せる内奥の部分を直感的に引き出しており、移りゆく時間をシンプルに切り取っていながら、その独特の世界や美しさを人々の胸に深く残す。


Chikashi Suzuki, Nakameguro, Tokyo, 2017, C-print, 57.0 x 45.4 cm
©Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA




Chikashi Suzuki, Roppongi, Tokyo, 2018, C-print, 126.0 x 100.0 cm
©Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

写真は、記録性や芸術性の否定、またポスト・モダニズム以降の表現の多様化や多極化、解体と再構成といった諸問題に直面してきたメディア。
さまざまな作家が、各々の方法で宿命としての「写真のジレンマ」に取り組み、表現方法やオリジナリティを模索してきた。


イメージが氾濫し、消費され、陳腐化している現代、鈴木もまた写真というメディアに正面から向き合い、フィルムカメラで三脚を使用して撮影し丁寧にプリントするという、即時性からはかけ離れた方法で、写真の「写真らしさ」を取り戻している。

1枚の写真が持つ、凝縮された豊かさや情緒を感じさせることで、彼は写真というメディアがなぜこれまで人間を魅了してきたのか、そしてテクノロジーの進化によって人間の認識がどのように変化したのか、ということについての再考を促す。


Chikashi Suzuki, Shibuya, Tokyo, 2014, C-print, 126.0 x 100.0 cm
©Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA




Chikashi Suzuki, Shinjuku, Tokyo, 2004, C-print, 22.7 x 28.5 cm
©Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

すべてフィルム写真で構成された今展では、新作のポートレイトや東京の風景に加え、近作の花の作品も展示される。
花は鈴木が継続して撮っている対象の1つでありながら、彼は自然の花ではなく、都市部にある、一度整備されたのち手入れをされずに放置されている花を好んで撮影する。

花のシリーズに見られるのは、弱い光や柔らかい光、静謐でいてさまざまなグラデーションを持つ光、またその光によって浮かび上がる花の美しさなど、フィルムならではの表現。

身近な場所でイメージを収集するように撮影をする鈴木は、個の集合体である街や社会から写し取った断片を集めて再構成することで、偶然性というものが与える解放感や、写真を見ることの真の喜びをもたらす。


瞬きのようにさりげなく、それでいて意識的に切り取られた瞬間。
フィルムに焼き付き、作品となったその眼差しに、心惹かれて。


KOSAKU KANECHIKA 03-6712-3346


【Chikashi Suzuki “My Tokyo”】
DATE:6月1日(土)まで開催中 ※日曜、月曜、祝日休廊
TIME:11:00am~6:00pm ※金曜は8:00pmまで
PLACE:KOSAKU KANECHIKA
ADDRESS:東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 5F
ADMISSION FREE
WEBSITE:kosakukanechika.com

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