Joan Jonas
映像の中のパフォーマンスが語る、絡み合った世界の構造
Top Photo:《Waltz》2003, video still © Joan Jonas
パフォーマンスアートやヴィデオアートの先駆者として知られるJoan Jonasの個展「Waltz」が、WAKO WORKS OF ARTにて、1月25日(土)まで開催中。
身体表現をベースとした独自の制作を、さまざまなメディアを用いて展開するJoan Jonasは、1960年代より、当時隆盛していたミニマルアートの影響下において対象と自らの関係性について考察。
活動初期からシンプルな持ち物を用いた表現に重点を置いており、日本で目にした能の舞台からも、持道具に複数の文脈を見出すというその表現方法に大きな影響を受けている。
身体を介して物品の内外にある物語を引き出そうとするJonasの働きかけは、フェミニズム運動とも相まって、それまで見過ごされていた価値観や表象のあり方を現代美術の表舞台に登場させるきっかけの1つとなった。
《Waltz》2003, video still © Joan Jonas
今展では、Jonasの制作活動の中軸にあるパフォーマンス表現からもたらされる映像表現に焦点を当て、小道具やコスチュームといったプロップが特に重要な役割を果たす2つの映像作品「Waltz(邦題:ワルツ)」と「Mirror Improvisation(邦題:鏡の即興)」を、パフォーマンスに欠かせない要素であるドローイングと共に展示する。
彼女が毎夏を過ごすカナダのケープブレトンで撮影された「Waltz」は、象徴的なシーンの断片を繋ぎ合わせて作られた短編で、仮面や旗、衣装、鏡など、他作品とも共通するモチーフが数多く登場。
Robert Ashleyの晩年のオペラ「Celestial Excursions(邦題:天上の旅)」の劇中で自身が行ったパフォーマンスをはじめ、Francisco de Goyaの「Disasters of War(邦題:戦争の惨禍)」や、庭裏での映画上映の思い出、18世紀のフランスの野外劇場といったイメージソースは、直接的な転用はされず、形を変えて語られた。
また、Jonasは物品を単に演出的な要素として用いるのではなく、それらが持つ出演者との関係性や、その関係性自体が別のストーリーを想起させることに注目しながら作品世界を創出。
作家独自の視覚言語がさまざまに同居する映像は、人々の記憶や認識がいかに変動的で多様な受け口に満ちあふれているかを示唆している。
演者がまとい、手に触れることで吹き込まれる生命。
プロップに導かれたすべての関係性を象徴するような、Jonasの軽快なワルツに身を委ねて。
WAKO WORKS OF ART 03-6447-1820
【Joan Jonas “Waltz”】
DATE:1月25日(土)まで開催中 ※日曜、月曜、祝日休廊
TIME:11:00am~7:00pm
PLACE:WAKO WORKS OF ART
ADDRESS:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3階
ADMISSION FREE
WEBSITE:www.wako-art.jp/current
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