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Ryuji Miyamoto “Architectural Apocalypse”

Ryuji Miyamoto “Architectural Apocalypse”
光の痕跡が記す、建築物の終焉

Ryuji Miyamoto, “Grosses Schauspielhaus, Berlin”, 1985, gelatin silver print, 34.3 x 50.9 cm © Ryuji Miyamoto / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

写真家 宮本隆司の個展「建築の黙示録」が、タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムにて、6月15日(土)まで開催中。

建築雑誌の編集部員を経て写真家として独立した宮本隆司は、建築物を中心に、都市の変貌や崩壊、そして再生の光景を独自の視線で撮影してきた。

1977年に初個展を開催した後、写真家として自身の方向性を模索していた宮本は、1983年、中野刑務所解体現場に衝撃を受け、以後半年に渡ってその解体過程を撮影。
内と外の境界が消滅し、変質した空間に漏れ入る光の痕跡を像として定着させた宮本の作品は、建物が使用目的や意味体系から解放され、それ自身として存在しているさまを捉えている。


Ryuji Miyamoto, “Octagon Tower, Roosevelt Island, New York”, 1991, gelatin silver print, 50.5 x 39.9 cm © Ryuji Miyamoto / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film



Ryuji Miyamoto, “Pavilions of Tsukuba Expo. ’85, Tsukuba”, 1985, gelatin silver print, 36.8 x 53.1 cm © Ryuji Miyamoto / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

今展では、1989年に第14回木村伊兵衛写真賞を受賞した、宮本の代表的なシリーズ「建築の黙示録」より、約20点が展示。
雑誌の取材で赴いたドイツにて遭遇したベルリン大劇場の解体や、壊すことを前提に作られたつくば科学万博パヴィリオン、劇場や競馬場、映画館の解体など、「もの」としての建築の本質を探求し、変貌する都市と建築を凝視した作品群を、1983年から4年に渡り撮影したシリーズ「建築の黙示録」は、1986年に個展で発表。

都市のモダニティの構成要素であった建築物の終焉を撮影するという行為の批評性と、解体による空間の変質そのものを正面から捉えた眼差しは、大きな反響を呼んだ。

また、都市と建築の内包する諸問題への作家独自の視点は、「建築の黙示録」から、香港の高層スラム建築を撮影した「九龍城砦」、阪神淡路大震災の被災地を捉えた「神戸 1995」、バブル崩壊後に急増したホームレスの住居を巡る「ダンボールの家」へと、宮本の作品世界における大きな流れの1つを形作っている。


終末を迎えて初めて見えてくる、建築物の素顔。
建築の黙示録に綴られた、宮本の原点を確かめて。


TAKA ISHII GALLERY PHOTOGRAPHY / FILM 03-5575-5004


【宮本隆司 「建築の黙示録」】
DATE:6月15日(土)まで開催中 ※日曜、月曜、祝日休館
TIME:11:00am~7:00pm
PLACE:タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
ADDRESS:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル2F
ADMISSION FREE
WEBSITE:www.takaishiigallery.com/jp/archives/19975/

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