Encounter：Tomohiro Takeshita
編集部に届いた新たな才能

「Encounter=出逢い。」

世界中に存在する、アーティストたちとの巡り合い。
まだ花を咲かせる前の、若きクリエイターたちの才能を披露する場として。
彼らが表現する、瑞々しく、独創的な作品の中から
琴線に触れる作品を編集部がピックアップ。
選び抜かれた、フレッシュな感性に心を委ねて。

No.27 “A City”

Tomohiro Takeshita／Photographer（Tokyo based）

「Birth and Decadence（新生と退廃）」
この作品では、ある街の中に佇むとりとめもないものたちを、対のイメージで撮影・再構成しています。

この街（東京）で生活していると、
ぼんやりとした半透明の寂しさを感じる瞬間があります。
それは、よそみをしているうちにグラスに残っていた氷が溶けて、いつのまにか何者でも無くなっている。
そのような無常感と似ています。

私は以前より感じていた、この空洞のような感情の原因を突き止めようと作品の採集を始めました。

今作品を再構成する過程で気づいたことがいくつかあります。
新しいものは常に生まれ続けていること。
それに押し流され、新しかったものは普遍的で当たり前になっていくこと。
改めて観察してみると、受容されうる範囲で、それらが少しの違和感を抱えていること。

視界が捉えた、意味を語らない「新生」と「退廃」の違和感は蓄積されていきます。
違和感が表面張力を超えた時、“寂しさ”に似た形で訴えかけてくるのだと思います。